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金属に頼らない強さ。木と木が呼吸し合う「継手・仕口」の美学

  • 執筆者の写真: 慶直 横川
    慶直 横川
  • 1月12日
  • 読了時間: 2分

 家を支える柱や梁(はり)。その接合部を覗いたことはありますか? 現代の多くの住宅では、ボルトやプレートといった「金物」で木を固定するのが一般的です。しかし、しゃちデザインが追求するのは、日本古来の知恵である「継手(つぎて)」と「仕口(しぐち)」を用いた木組みの家です。

今回は、私たちが魅了されてやまない、この接合の美学についてお話しします。



木の「呼吸」に寄り添う

 木は、家になった後も生き続けています。湿気を吸えば膨らみ、乾燥すれば縮む。この「呼吸」による微細な動きを、硬い金属で無理やり押さえつけるのではなく、木と同じ性質を持つ「木」で受け止めるのが継手・仕口の考え方です。

凹凸に刻まれた木同士が複雑に噛み合うことで、一本の長い材や強固な角(コーナー)が生まれます。季節を重ねるごとに木同士が馴染み、まるで最初から一本の木だったかのように一体化していく。その柔軟な強さこそが、地震の揺れをしなやかに逃がす、日本建築の真髄なのです。



指先が覚えている「0.1ミリの精度」

 継手や仕口を作る工程は、まさに職人の手仕事の極致です。 木の乾燥具合や木目の流れを読み、ノミやカンナを使って、コンマ数ミリの精度で刻みを入れます。緩すぎれば強度が保てず、きつすぎれば木が割れてしまう。

「コン!」と心地よい音を立てて木同士が吸い付くように合体する瞬間、そこには計算だけでは導き出せない、職人の経験と感覚が結集しています。この精緻な加工が施された接合部は、金物に頼らずとも圧倒的な支持力を発揮し、何十年、何百年という歳月に耐えうる構造体を作り上げます。



構造は、隠れた「芸術」である

 壁の中に隠れてしまう継手や仕口を、私たちは「隠れた芸術」だと考えています。 見えない場所にこそ、嘘のない

誠実な仕事を施す。その積み重ねが、住まい全体の「空気感」を変え、住む人に言葉では説明できない安心感を与えるからです。

金物に頼らない強さは、木への深い敬意から生まれます。 しゃちデザインの現場で、木と木が呼吸し合いながらひとつになっていく様子を、ぜひいつか実際に見ていただきたい。そこには、時代を越えて受け継がれる「本物の美学」が宿っています。

 
 
 

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